貫通知らずくん 使い方(基本編)
貫通知らずくんの解説記事です!
貫通知らずくんを使用するには、VRoidモデルであることと、PmxTailorを使用することが前提条件ですので、ご注意ください。
はじめに
まず最初に、簡単に貫通知らずくんについて軽く紹介しておきます。
貫通知らずくんはしがないぶいろむむださん(現在は引退)が開発されたツールです。
ツールと言っても、厳密にはExcelのシートです。
スカートの段数を数えて、その数字を入力することで最適な物理設定を計算してくれるという優れものです。
引退と共にツールの配布も停止になる予定でしたが、わたしが後を継ぐ形で配布委託先となりました。
わたしは作者ではないので、今後このツールをアップデートすることは難しいですが、分かる範囲で質問等には答えるので、何かお困りのことがあれば遠慮なくマシュマロかTwitterでご連絡ください。
やり方の種類
二通りあります。
・計算結果を手打ちで入力する方法(基本の使い方)
→ちょっと大変だけど難しい操作は無し。
・CSVファイルを出力し、編集し、再度読み込む(CSV出力対応版)
今回は計算結果を手打ちで入力する方法を解説します。
DL先
まだ貫通知らずくんをダウンロードしていない方は、こちらからどうぞ。
上記のリンクは関連ツールへのリンク集なので、こちらをクリックして、その先でダウンロードしてください。
ダウンロードしたフォルダを解凍すると、中にReadmeのファイルが2つ入っておりますので、使用前にご一読ください。
下準備
まず最初にmiu様のVroid2PmxでVRoidモデルをPMXに変換します。
その後、PmxTailorで物理を入れるを入れるのですが、注意点が二つあります。
・同封のPmxTailor用jsonファイルを使用すること
・親ボーンは必ず『上半身』にすること
そもそもVroid2Pmxとか、PmxTailorの使い方がわからないよという方はこちらで解説していますので、見てみてくださいね。
念のためひとつずつやっていきますね。
今回はこのモデルを例にやってみます。
重ね着なしの、ワンピースです。
Vroid2Pmxを起動し、モデルを変換します。
次に、PmxTailorを起動し、出力されたPMXファイルを読み込ませます。
ファイルを読み込んだら、必要な情報を入力します。
①スカートの材質
②上半身を選択
③未使用の剛体グループを選択
④スカートの裾がギザギザしていたり、フリルがついていたり、まっすぐではない場合はエッジ不定形を選択
入力が終わったら、「インポート」ボタンをクリックします。
次に対象頂点を取得します。
PmxTailorを開いたままにし、Pmxエディタでモデルを開きます。
編集メニューからView選択対象(複数)のリスト選択→頂点にチェックを入れます。
こんなメッセージが出てきますが、「はい」で大丈夫です。
物理を入れたい範囲を選択し、頂点のリストから右クリック→CSVファイルへ保存します。
ファイルの名前はスカート物理範囲.csvなど、自分の分かりやすいもので大丈夫です。
PmxTailorに戻り、対象頂点CSVというところに、先ほど出力したファイルを入れます。
ここまでできたら、左上のファイルタブへ戻り、PmxTailorを実行します。
貫通知らずくんを使う
貫通知らずくん本体と、PmxTailorで出力されたモデルをPmxエディタで開いておいてください。
貫通知らずくんを開くと、まず最初に「段数入力と使い方」というシートが表示されますが、そこに書いてある通りに進めていきます。
①の物理入れは下準備でもう済ませたので、②からやっていきます。
Pmxエディタで剛体タブに移り、スカートの中心以外の全てのスカート剛体を選択します。
右側のにある「奥行」を0.1にし、「反発力」と「摩擦力」を全て0にします。
移動減衰、回転減衰はスカートの丈がひざ上なら全て0.999、ひざ下なら全て0.95にします。
今回はひざ上なので0.999にします。
次に、両足と下半身の剛体を選択し、右下の摩擦力に20以上の値を入力します。
入力を終えたら剛体の段数を数えます。
数え方ですが、剛体の名前を見てみると、こんな構成になっていると思います。
例)01_Top-001-001
分解してみるとこんな感じです。
01_Top…材質名
001…1段目の
001…1つめの剛体
なので、例えば「01_Top-008-020」だったら、
8段目の20個目の剛体、って感じです。
つまり真ん中の三桁の数字を見て行けばよいです。
この例だと剛体の段数は11段になりますね。
ただし、ロングコートなどのワンピース以外の材質だと、たまに剛体の数字が飛んでいることがあるのでご注意ください。
例:一番下の剛体名が01_Top-025-022だが、
真ん中の数字が001、003、005…と飛んでいるので、実際の剛体の段数は13段
剛体の段数を数えられたら、その数字を貫通知らずくんの「剛体段数をここに入力」と書かれているところに入力し、Enterキーを押します。
今回例に挙げているモデルは11段あるので、11と入力します。
全角で入力すると上手く行かない(おそらく)ので、お気をつけください。
計算結果を入力する
ここからが結構大変です。頑張りましょう。
貫通知らずくんの「計算結果」というシートを開きます。
このようになっていたら剛体の段数の入力は成功しています。
なんだか数字がたくさんで眩暈がしそうですがひとつずつやっていきましょう。
まずは一番左の枠から入力を開始します。
剛体の質量、剛体幅、剛体高さの3項目の入力を同時にやっていきます。
PMXエディタで剛体のタブを開き、1段目の剛体をすべて選択します。
剛体の質量、幅、高さを計算結果の通りに入力していきます。
今回のスカートはひざ上(ミニスカ)にあたるので、10ではなく0.1と入力します。
そして、幅と高さの1段目は幅0.25、高さ0.45とありますので、その通りに入力します。
同じことを全ての段でやります。
この例の場合は11段ありますので、11段目の剛体まで全てやります。
2段目だったら質量0.09、幅0.35、高さ0.45
3段目だったら質量0.08、幅0.44、高さ0.56……という感じです。
終わったら、Jointでも同じことをやります。
まずは各段の縦Jointから。
Jointタブを開き、Joint名冒頭に「↓」がついている1段目のJointを全て選択します。
貫通知らずくんのシートに「移動は0で統一」と書かれているので、移動は全て0にし、回転に各値を入力していきます。
次にばねを入力します。
縦Jointの入力がすべて終わったら、次は横Jointです。
Jointタブを開き、Joint名冒頭に「→」がついている1段目のJointを全て選択します。
回転は全て-1~1で統一とあるので統一します。
移動に各値を入力していきます。
次にばねを入力します。
すべての入力が終わったら、最後に体の剛体を調整します。
剛体の調整についてはこちらの記事で解説しておりますので、参考にしてみてください。
最後に、Pmxエディタのデータの状態検証を実行し、問題がなければ名前を付けて保存し、完了です。
動きを見てみたい方は、MMDで実際に躍らせてみるか、PmxエディタのTransform Viewでセンターボーンを下に下げてみてください。貫通しなければ成功です。
おつかれさまでした
入力する数字が多くて、ちょっと大変だったと思います。
ですが手を加えたモデルというのはやはり愛着が湧きますし、なにより貫通がほとんどなくなることへの感動はなかなかのものだと思います。
入力が大変、やりたくない、という方はCSV出力対応版があります。
そちらの解説は要望があればまた今度やります。
ではでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!
何か分からないことがあれば遠慮なくマシュマロかTwitterでご連絡ください!